アレルギー性鼻炎
症状と原因
アレルギー性鼻炎は、鼻腔から空気を吸い込む際に①発作性反復性のくしゃみ、②水性鼻汁、➂鼻閉を主徴とする鼻粘膜のアレルギー反応による病気です。
症状は風邪の初期症状と似ています。 風邪の場合は1~2週間で収まることが多いです。
鼻から吸いこむ「ほこり・ダニ物質」などのハウスダスト、「スギ・ヒノキ・ブタクサなど」の花粉、さらに「アスペルギルス、カンジダなど」のカビ、「ネコ、イヌ(フケ)など」の吸入抗原に反応するアレルギ-性鼻炎は症状の強さ弱さは変動しますが、季節性(花粉症)もしくは1年を通して持続します。
鼻過敏症はアレルギー反応の明らかな吸入抗原を特定できない血管運動性鼻炎などの病気のことをさします。
診断
アレルギー性鼻炎は症状と来院された時期、症状さらに診察時の鼻腔、咽頭の診察時所見によってある程度の診断は可能です。
しかし、診察時の症状や所見だけではいわゆる確定診断はできません。
血液検査を実施し、白血球の中のアレルギ-反応性細胞の数値や吸入アレルゲン(ホコリ、ダニや様々な花粉などの原因物質に対して反応する抗体蛋白(IgE抗体))の有無と、アレルゲンがあればその量を調べます。
この血液検査結果でほぼ診断が可能です。
治療方針
治療の前に、重要なのはアレルギー性鼻炎原因や発症要因を知り、原因や要因を避ける、鼻から吸い込まない、あるいは吸い込む量を減らすことです。
とはいえ、アレルギ-性鼻炎に対する治療は抗アレルギー剤の内服が治療の柱です。
1.内服薬
- ①抗ヒスタミン薬
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抗ヒスタミン薬は現在日本で使える内服薬は12種類あります。化学構造式の骨格でピペラジン骨格が2種類(ジルテック、ザイザル)、ピぺリジン骨格4種類(ビラノア、エバステル、アレグラ、タリオン)、三環系骨格5種類(アレロック、アレジオン、クラリチン、デザレックス、ルパフィン)を持つものがあります。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の痒みなどの症状を抑える効果には個人の体質による差があります。また残念ながら即効性は早くなく、効果が実感できるまで1週間程度かかります。このため、例えばスギ花粉によるアレルギー性鼻炎の方はスギ花粉飛散前1~2週間前からの内服が推奨されています。
- ②抗ロイコトリエン薬
- 抗ヒスタミン薬は残念ながら鼻閉に対する効果は弱い場合があり、抗ロイコトリエン拮抗薬の併用内服をお勧めする場合があります。
2.点鼻アレルギ-薬
- ①ステロイド鼻吸入薬
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アレルギ-炎症を抑える点鼻吸入ステロイド薬です。1日1回点鼻吸入で効果が得られるのものを処方いたします。メーカーによっては横押しの形状と縦押しの形状のものがあり、どちらが使い易いかは個人差があります。
以上の内服および点鼻・吸入療法がアレルギ-性鼻炎や花粉症の治療の柱です。しかし、これらの治療はあくまでも対象療法で症状緩和の治療ともいえます。
現在では、以上の内服及び点鼻・吸入による症状緩和だけでなく、長期緩解の可能性が得られる舌下免疫療法がおこなえるようになりました。
3.舌下免疫療法
2014年にスギ花粉舌下液が承認され,舌下免疫療法が保険診療として施行されるようになった。その後,2015年にダニ舌下錠が,2018年にスギ花粉舌下錠が承認された。特にスギ花粉舌下錠が2018年に小児適応を取得して以降,舌下免疫療法が導入された患者数は右肩上がりである。2023年の時点でスギ花粉舌下錠,ダニ舌下錠はともに50万人以上の患者に導入されたことが推計されている。したがって,舌下免疫療法は普及しつつあると言えるとのことである。【岡野光博(国際医療福祉大学)】
舌の裏側に薬剤を保持する舌下免疫療法。スギ花粉の舌下免疫療法、ダニ(ハウスダスト)の舌下免疫療法の2種類が保険適用となっており、当院でも舌下免疫療法を実施しておりますが、数に限りがございます。詳細はご受診の際にお尋ねください。